サプリメントの取り扱いについて
サプリメントの取り扱いについて
サプリメント等の扱い
 
 医療機関でサプリメントやコスメティクスを扱うことに関して。
「きわめて慎重に」という姿勢ではあるが、明確に禁じた根拠が示しにくいため、患者さんからのクレームや、行き過ぎた宣伝広告が目に留まらない限り、現段階では違法性を問いにくくなっているようです。


サプリメントを扱うと混合診療になるのか?


 
混合診療の禁止の法的な根拠が明確ではないことは、先生方もよくご存知かと思います。しかしながら、条文の解釈や既成事実として、事実上混合診療が禁止(一部の例外を除く)となっていることは忘れてはいけません。

 一般的に混合診療禁止の根拠として「保険医療機関及び保険医療療養担当規則(通称、療担)」の第18条が該当すると言われています。 すなわち、「療担第18条:
保険医は、特殊な療法又は新しい療法等については、厚生労働大臣の定めるもののほか行ってはならない」です。

 しかしながら、平成16年12月の政府の「規制改革・民間開放推進会議」において療養の給付と直接関係のないサービスについては保険診療との併用の問題が生じないことを明確化するという答申がなされ、平成17年8月の中央社会保険医療協議会(中医協)第68回総会において見直しが行われ、平成17年9月1日付で厚生労働省保険局より通知されました。 これが、混合診療に関して明確に文書化された法的根拠となります(保医発第0901002号)。

【要点】
サプリメントやコスメ等の販売を行うときは、次の要件を満たせば、別段法的な問題は生じにくいということです。

(スタンスとして)
*歯科医師が自らの診療に基づく医療行為として扱うこと。

(要件として)
1.院内に実費負担にてサプリメント関連の情報提供ならびに取り扱いをしていることを明示すること。
2.説明と同意(同意書への署名)が得られており、患者の自由意志で購入していること。
3.保険診療とは別に領収証を発行すること。

(補足)
混合診療を定義する具体的内容に、以下のものがあります(一部のみ記載)
*新薬、新医療材料、先進治療等に係る費用
ア.薬事法上の承認前の医薬品、医療材料(治験薬を除く。)
イ.適応外使用の医薬品
ウ.不妊治療等の保険適用となっていない治療方法(高度先進医療及び先進医療を除く。)等

 ここで、サプリメントの法的位置づけを考えた場合、「サプリメントは、健康食品であり、医薬品ではありません」。これは、厚生労働省(消費者庁)から、保健の用途の記載について許可を得た「特定保健用食品」や、主に医療機関で使用される「病者用食品」、規格基準型の「栄養機能食品」等であっても、あくまでも「食品」という扱いです。

 したがって、上記の補足の内容と照らし合わせてみますと、混合診療となるのは、未承認の医薬品や適応外処方をした医薬品ということになり、「食品」である
健康食品(サプリメント)の使用は、そもそも混合診療云々の議論になりようがないということが明確化されたわけです。

 余談ですが、3-Mix MP法は、医薬品を適応外処方で用いる治療ですから、これを実費負担(たとえば根管治療を保険で請求し、追加料金で1,050円をいただく等)は、確実に混合診療になります。
 また、仮歯をたとえば1,050円の実費負担にした場合も、上記の「療養の給付と直接関係のないサービス」ではありませんので、これも実費徴収は、混合診療となることが明確に示されています。ご注意ください。

サプリメント等の販売は、営利行為になるのか?

 よく、「医療機関における営利行為は禁止されています。物販行為は営利行為です」といわれますが、その根拠となる法令は、医療法第7条になります。全文は複雑ですので、歯科に関するところを抜粋します。

(医療法第7条)
第1項:病院を開設しようとするとき、歯科医師法の規定による登録を受けた者
でない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない。
第5項:
営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、前項の規定にかかわらず、第一項の許可を与えないことができる
(医療法第8条)
 臨床研修等修了
歯科医師が診療所を開設したときは、開設後十日以内に、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。

 この条文からもわかりますように、営利行為に関しては「禁止」と明確に示されているわけではなく、「開設許可を与えないことができる」という言い回しです。しかも、対象となるのは、歯科医師以外の者が開設する場合であり、歯科医師が開設する場合は、法律の条文が異なり、さらに「審査を受けた許可というよりも、届け出による許可(正当な理由がない限り許可を拒むことはできない)」という扱いになります。

 したがって、先ほどの混合診療の問題でも触れましたが、歯科医師が開設した歯科医院において物品販売しても、そもそも営利行為云々の議論になりようがないということがわかります。もしも営利行為が禁止で、物販が営利行為にあたるのであれば、歯ブラシや歯磨きを売ることすら違法行為になってしまいます。

(補足)
 まれに当局から「歯ブラシや歯磨き、ガム等の販売なら直接歯科に関係があるものなのでよいと思うが、サプリメントやコスメはどう考えてもおかしい」といったコメントが出るようです。しかし、これはあくまでも感覚的な問題であり、法的にきちんと解釈するのであれば、むしろ療養の給付(実際に保険診療をしている内容)と直接結びつきやすい、デンタルケアグッズのほうが、よほど前述の「療養の給付と直接関係ないサービスは、混合診療ではないが、直接関係あるサービスは混合診療となる」に抵触すると思います。


 上記のように、法的に明確に禁止されているわけではありませんが、医療法人においては、付帯業務の制限が設けられていますので、物販行為で得られた利益を、出資者に再配当したり、直接病医院の運営に関わる費用(病医院の設備投資やスタッフの教育研修等)以外に回したりすると、やはり問題となりますので、会計は保険診療とは厳密に区別して管理しなくてはなりません。

上記の内容は、自由診療(広い意味で、アンチエイジング医療、統合医療、デンタルエステなどの付加価値の提供)を行う際には、必ず押さえておかなければならない事項ですので、本研究会のセミナーでも、毎回情報提供していっております。

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